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日常

「好きって言って」

目標としている人が、いる。

……正しくは、人「たち」。

 

20年位前だったか、、

電車に乗っていたら、年配の女性の集団がある駅から乗り込んでこられました。

彼女たちは一様に、

同じデザインのTシャツ、同じデザインの袋や色とりどりのうちわを抱えています。

よくよく見ると、「SM●P」のデザイン文字。

会話の内容から察するに、某国民的アイドルグループのコンサート帰りのようでした。

 

「かっこよかったー!」

「あの歌のあそこのところが……」

 

楽しそうに嬉しそうに、それはもう思春期の、恋に恋する少女のように、

数十分前、数時間前の思い出を語られていました。

大人の少女たちが大好きな『推し』の話をそこここで語る様子は、

キラキラして本当にかわいらしく

車両のそこの一画だけに、ティンカーベルが振り撒く粉のような、光る鱗粉が舞っているように見えました。

 

私は将来、この人たちのようになりたい。

そう思ったのを覚えています。

 

わりとおそらくきっと、そこそこにただのありふれた日常の風景のはずなのに。

私はこの時に感じた高揚とキラキラを、

20年経った今も、忘れられない。

 

 

私は子供の頃から、

常に何かが好きで、何かにのめりこんでいる人間です。

依存体質、なのかもしれない。

 

だって世の中は生きづらい。

面白くなくても笑ってなきゃならない。

楽しくなくても喜ばなきゃならない。

悲しいことがあっても、明日の朝は普通に来る。

私が私の現実だけを生きるのは、子どものころからずっと過酷なことでした。

 

だから助けを求めて、好きなことにのめりこむ。

好きなことを見て、聞いて、読んで浸っている間はしんどいことを忘れられるし、

体感していろんなことを考えて励まされて、

そうしたらまた頑張れるから。

現実を諦めない為に、現実から一旦逃げる行為。

 

でも、趣味ってものは、なかなか人に理解されないことがあります。

 

私は小学生のころからF1が大好きです。

あの直線距離を走る高音と揺れる空気、

エンジンやタイヤ周りで素早く動くメカニックたち

もちろんフォーミュラーカーそのもののフォルムにも魅了されていました。

 

父の影響で日本刀や拳銃が好きだし、飛行機も大好き。

博物館に行ったり、拳銃の本やDVDを買ったりしたし、

飛行機のゴーアラウンド動画を観たり、世界中のパイロットたちと管制官の航空無線を聞いて楽しんだりもします。

 

子供のころは今よりもっと偏見が強かったので

「女の子がなんで?」とよく言われたし、

同志は周りにいませんでした。

 

児童文学や昔の文学も好きで、

小学生のころにハマっていた『東海道中膝栗毛』は

文章を書き写して楽しむくらい好きだったんですが、

まぁそうそうに理解者はいませんでした。

 

どうせ話しても相手は何も知らないし、

当然好ましい反応は返ってこないので

自分の趣味の話はほとんど人にしていなかったかと思います。

 

ゲームも漫画も好きでしたが、

このあたりのサブカル趣味は両親に理解されず、常に怒られ規制された状態。

お絵描きも好きだし、文章を書くのも好きだから、

子供のころから何かしら創作もしていましたが、

どこかの賞を取ったとしても、それも両親は気に入らなかったようです。

(のめりこむから勉強しなくなると思われていた様子)

 

「趣味は、恥ずかしいもの」

 

という感覚でずっと生きてきました。

何かを好きでいなくちゃ生きられない私にとって、

それは人生そのものが恥ずかしいことになる。

そうやってずっと、足元のアスファルトを眺めて歩いてきたから、

あの電車で出会ったお嬢さんたちが、

とてもとても、

眩しく見えたのでした。

 

「大人になったら子ども以上に、遊ばず真面目に生きなければならない」

とも思い込んでいた私は、

どんなに年齢を重ねても、趣味は趣味でいいんだということ、

好きなことを追いかけてもいいんだという赦しを得たような

これからの人生に希望が見えた気がして

あの人たちのような大人になりたいと、思ったのだと思います。

 

 

そして今、

あの時のお嬢さんたちと同じくらいの年齢になって。

 

この7月は、名古屋と東京と福岡と大阪

8月は、北海道と東京に行きました。

大好きなバンドが夏ツアーやってるので、当然全て通いますよね。

業界用語で「全通」というやつです。

今流行り?の「推し活」なるものです。

 

 

この歳になってまでこんなことしてていいのか

という疑問が頭をよぎらんでもないのですけれども

あの時に見たお嬢さん方素敵やったしさぁ~

と自分に言い聞かせています。

きっと大丈夫。

 

そして今月は、、

創作趣味が高じて、大学時代に朗読演劇サークルを立ち上げたんですけれども、

それの顧問をしてくださった教授の講演会があって

聴きに行った両親が

「教授、お前のこと覚えてたよ」

と教えてくれました。

 

「あのサークルの子たちのことは忘れられません。

あの子たちがいたから市から研究のお話をいただいたし、

この講演会の題材の研究をするきっかけになったから、感謝しているんです」

 

あぁ、私の趣味は、私以外の人さえ助けることができるのかな。

 

好きを好きなままで、いてもいいかな。

好きを、好きだって、皆に言ってもいいのかな。

 

キラキラしてたいよ。

これが私です、と。

 

 

 

じゃあ最後に、

最近見つけた好きを、置いていきます。

 

会社で定期購読されている「グラフィックサービス」という月刊誌があるんですが

そこで毎年、年賀状デザインコンテストてのをやってまして

デザイン専門学校とか印刷所の方々の作品が載るんです。

 

自分もお絵描き好きだし、美術館や博物館で絵画等見るのも好きなので

今年もワクワクして眺めて、これが好きだなぁ~って作品を見つけました。

 

空に昇る龍。光の差し方が神々しい。

かわいいし、かっこいい。

 

製作者の名前を見ると、「ミノックス/大阪」の文字が。

 

Yさーん!!

私、あなたの作品が、一番好きです!!

 

 

Fin

 

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